Yusuke Muroi










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  • ■2018



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    『平凡な芸術家(仮)は本物の芸術家たり得るか(すべてを最初から始めたい)』

    『第21回岡本太郎現代芸術賞』展での入選作品。
    自身の個人史に虚構を混ぜ合わせ、理想の芸術家の人生をつくり上げようとした。展示室に集積するものには、それぞれ制作した当時の年齢を示すかのような数字のシールが貼られているが、無意味な数字や偽った年齢を示す数字のシールも貼られている。




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    『柔らかい労働のための習作(森林の施設にて)』

    労働をテーマとしたインスタレーション作品。
    生活のためにおこなっていた大道具の仕事や物流倉庫の点検・部品交換の仕事の経験に基づいている。




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    『スープ/贅沢な』

    インターネットから集めた絵画の画像を出力し、コラージュをした上に色を塗る。
    それを切り分け、カップに注がれたスープのように造形した。これらをテーブル一杯に並べる。




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    『労働あるいは制作のあとかた - あるいは無題』

    労働で使用した手袋やウエス、制作で使用した筆やノートを一緒に並べる。
    それらを用いて制作した絵画やオブジェクトも一緒に展示する。




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    「王国をつくりなさい。」

    夢のお告げに従って、私が思う王国を制作した。導入としてインスタレーションの入り口付近に、夢の内容のテキスト、夢の中で起きた現象の再現を展示している。アール・ブリュットの作家もしばしば夢のお告げに従って作品を制作する。

    ▼夢の内容のテキスト

     2018年11月23日 夢を見た。
     絵を描く試験会場の席に座っている。どういうわけか試験中にもかかわらず私語の飛び交う空間だ。すると、目の前に座っている妙な挙動の男性が、「青いペンを貸して欲しい。」と私に話しかける。私は水色の蛍光ペンしか持っておらず、「これでは?」と提案すると、「それじゃダメだ。」と断られる。だが、実のところ私は青いペンを持っていた。けれども、貸したくはなかった。それは私が幼少期の頃に使っていた大切なペンだった。私は嘘をついたことに罪悪感を覚え、彼に一応その青いペンを見せた。
     すると彼は、鷲掴みに奪って自身の紙にペンを走らせた。しかし、10センチくらい書いたところでインクがかすれてしまった。私は内心ホッとした。彼は、「書けないのなら...。」と諦めた。私は「どうして青ペンが必要なのか?」と尋ねてみた。すると彼は「黒いペンを忘れた。ここには赤いペンしかない。だから赤の上に青を重ねて、黒色の線で絵を描きたい。」と言った。
     私は妙に納得したが、そのあとで「黒いペンを貸しましょう。」と彼に提案した。すると、「それでは駄目だ!」と叫ぶように答えた。そして、もくもくと赤いペンで画面の右上に小さな自画像らしきものを描き、その模倣を下側、左側にとてつもないスピードで繰り返し描いていくのである。
     一方、描くことが何も決まらない私は、ただその光景を呆然と眺めている。だが、頭の中では、4年前から生計を立てるために始めた労働を題材にして何か描こうと考えていた。けれども、職場で学んだ秩序や経験を、表現として搾取する罪悪感に苛まれ、結局は何も描けないのであった。すると、試験監督のN先生が私の横にやってきた。そして「王国をつくりなさい。」と耳元で囁き、去っていった。





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